ゲーテ『自分の好きなように世界を知るがいい』
『ゲーテ格言集』科学、自然、二次元について
自分の好きなように世界を知るがいい。世界は常に昼の側と夜の側を持っているだろう。
「格言と反省」から
新潮文庫『ゲーテ格言集』68ページ
○感想
世の中に幸不幸はなく、あるのは出来事についての自分の判断のみ。ということはエピクテトスがすでに語っている通り。ゲーテの表現はもっと詩的。
世の中の見方といえば、例えばフィクション、ノンフィクションに関わらずあらゆる作品は世界の多様な面のほんの一部を切り取ってわかりやすく提示する役割がある。
映画一つ見るにしても鬱映画ばかり見て世の中に絶望するか、ノーテンキなラブコメ映画ばかり見て世の中をバラ色と見るか。はたまた冷水と熱湯に交互に手を突っ込んでなんかを鍛えるがごとくそれらの映画をバランスよく見てコントラストを楽しむか…。
まったく驚きなのはこの同じ世界から全く相反する出来事が生まれてしまう底知れなさ。心温まる人情モノの舞台の裏側で猟奇殺人が同時進行することもありえてしまう。
同じ時間同じ空間でも明部と暗部が同じくらいあるとしたら、まさしくどちらに焦点を当てるかはその人次第。これはポジティブ思考とかネガティブ思考よりも広い意味を持つ。
自分の生活が暗いと思えても明るい面もある。逆も然り。「情報を選ぶことは人生を選ぶことだ」とどっかで読んだが本当にその通り。
世の中の明るい面と暗い面、ゲーテの言う通りあくまでも好きなように見るべき。ただ気になるとか知っておいたほうがいいかもと言う理由であえて気の進まない方に注目する必要はない。