ラ・ブリュイエール『野心と自由』
カラクテール四章「心情について」五九節
立身出世に向かっては、つまらない気まぐれな事柄に向かって飛ぶ時と同じ翼ではとても飛べない。自分の気まぐれに従う時は何か自由な感じがするが、地位を追って走るときにはそれどころか隷従の感じがする。大いに出世を思いながら殆どそのためにつとめることなく、ことさらにそれを求めないでも自然とそれは見出せるはずだと自ら信じているのこそ自然である。岩波文庫『カラクテール』上巻160ページ
○感想
関根秀雄氏による訳注によるとこれは密かに野心を抱きながらもモラリストとしての自由さを離れず、自分のような人間は求めずともそれなりの地位に巡り合うはずだというラ・ブリュイエール自身の矜持に他ならないらしい。いいね。
情け容赦なく人間を切り刻む他の格言群と比べると自分に言い聞かせてる感じが滲み出てるのが人間味を感じさせる。
個人的にはやりたくもないことをやるのが苦痛すぎるのでこの価値観に賛同しつつ棚ぼたを待ちたい。
実際、理にかなった生き方っしょ。多分。楽だし。