ラ・ブリュイエール『最も願われるものはなかなかやってこない』

カラクテール第四章六二節

 

最も願われる事柄はなかなかやって来ない。よしやって来るにしても、それは決して、それらが大きな喜びを以って迎えられるような時期ないし場合においてではない。
岩波文庫『カラクテール』上巻161ページ

 

 

○感想
相変わらずな皮肉な見方。「前は欲しかったけど、今さら手に入ってもなぁ…」という場面は誰しも覚えがあるはず。
これじゃなんだからあえてポジティブにとらえると、引き寄せ系の考え方に通じる。つまり、望むものはそれを持ってても不思議じゃない、そんなの当然、当たり前、特に嬉しくはない。と思い込んでる時やってくるという風にも読める。

カネで例えると、まず上記の格言の本来の意味としては
・貧乏で苦労し、金持ちになるべく励んで実際金持ちになったが、今さら金があっても虚しい。嬉しくない。
という感じだろうが、成功哲学風に解釈すると
・「カネなんか勝手に集まってくるのが当然」と心底から信じ込めればカネ持ちになる。もちろんカネが集まってきて当然なので今さら嬉しくもない。

「実現して当然と思っていれば、実現する。」という考え方は結構色んな自己啓発、引き寄せ系、悟り系の本で言われてるのでもしかしたら本当にそうなのかも知れないので妙に覚えているが…それができれば世話がないという感じもするので要検討。でも上記の格言を単に「念願が叶うときは大体手遅れ」ととらえるよりは夢があって良い。
結局嬉しくないんじゃどっちもどっちだけど。

 

 

カラクテール―当世風俗誌 (上) (岩波文庫)

カラクテール―当世風俗誌 (上) (岩波文庫)