パスカル『人に好印象を与えたいなら…』

 

四四節


君は人からよくおもわれたいか。そうであるなら君のよさを人に語ってはならない。
新潮文庫パンセ上巻37ページ

 

○感想
まさしく!
第一、自分の良さは自分じゃわからんものだし、もし本当にわかっててもそれを強調すれば台無しになるのは明白。

「俺はイケメンだ」「俺は金持ちだ」「俺は性格がいい」
…うーん、好感度上げるための主張としては全部アウトだな。鏡に向かって自分に言い聞かせるだけなら良いかもしれないが。最悪なのはダメ人間にありがちな「俺の境遇、他の人間なら耐えられずにとっくに死んでる」みたいな無根拠かつ後ろ向きな主張。これも自分に言い聞かせるだけならギリギリありかもしれないが人に認めてもらうためのセリフとしては完全に逆効果。

SNS全盛の大自己主張時代にはこういう自己宣伝の罠に陥ってる人は結構多い。
では人から認められたいときはどうすればいいか?
黙って、行動と結果で示すのが一番かっこいいし効果的。
宣伝しながら行動と結果を出すのもかっこいいが、同時に反感も買いそう。やっぱ黙ってやるのがいいな。

行動も結果も出さず認めてもらうのは無理っぽい。そんな方法思いつかないから、口先だけで認めてもらおうとする考えはたしかに誘惑的。実際それをやるとこの格言の通りかえって嫌われるが、インスタグラムみたいに写真で間接的に語るのはまだマシなやり方かも。

とにかく、こういう逆説的な真理は好きだ。
パスカルはその他のモラリストと違ってそこまで皮肉屋じゃないがこういう逆説は光る。
やっぱりプルタークモンテーニュからの著述家の系譜はどれも面白い。

フランスモラリストの著作は「趣味は人間観察」とかいってるサブカルクソ野郎達にぜひ読んでもらいたい皮肉屋のねじくれた心を満足させること間違いなし!

 

パンセ 上巻―冥想録 (新潮文庫 ハ 4-1)

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