2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

B・フランクリン『富に至る道』(自伝付録)

アメリカの最高額紙幣の肖像でおなじみベンジャミン・フランクリンは新聞業を営んでいた時に「リチャード・ソーンダーズ(愛称:貧しいリチャード)」というペンネームでカレンダーを発行していたが、カレンダーは本を買わない人にも読まれることに着目し教訓…

カリエール『君主とその大臣たちにうまく取り入る方法』(外交談判法第十五章)

18世紀フランスの外交官が書いた外交官心得の一章 ここでいう外交官は相手国の宮廷に常駐して持続的に交渉する役割(ちなみにカリエール自身はそういう仕事ではなく、交渉のたび相手方に赴くタイプの外交官だった模様)。 今そんな仕事があるかは知らないが、…

洪自誠『多く蔵するものは厚く亡う』(菜根譚後集五十三)

菜根譚はマルクス・アウレリウスとだいたい同時期に読み始めたので個人的にはかなり影響を受けた。書かれた時代も場所も違えど、ところどころかなり似通ったことを言っている。 菜根譚の内容は理想主義的な遁世思想と言えなくもないが、実際的な処世の知恵も…

アレクシス・カレル『創造する精神』(人間、この未知なるもの四章)

血管の縫合とかなんかでノーベル医学賞受賞。ノーベル賞受賞者の割りに「残念ながら、我々優秀な白人と比べて他の人種は劣っていると言わざるを得ない」とか「運動選手は知能が低い」とか各種差別のオンパレードなのでそこは割り引いて読まないとダメ。しか…

セネカ『人生の短さについて』

手元の岩波文庫では『人生の短さについて』だが最近発行してるのは微妙に改題して『生の短さについて』になってる。「人生」と「生」では後者の方が命全般のスケールのでかい話になるような気がするが内容的には人間の生き方の話に終始してるのでどちらでも…

吉田兼好『芸を身につけようとするなら…』(徒然草第百五十段)

この段落では(芸術に限らず)様々な業界で卓越しようと志す人に対してのアドバイスが書いてある。 はっきり言ってかなりためになる。 というか、口先では立派なこと言いながら何も形に出来てないグズの心に刺さりまくるやつ。 ◼︎全文の引用 能をつかむとす…

モンテーニュ『臆病は残酷の母』(エセー第二巻第二十七章)

この章では臆病と残酷さの関係の他、卑怯、純粋な残酷について語られている。 卑怯については決闘と関連して語られていて、「剣術は勇気ではないので卑怯!だから貴族は名剣士と呼ばれるのを嫌がった」など興味深い話が並んでるが、モンテーニュ自身が言う通…

福沢諭吉『事物を疑って取捨を断ずること』(学問のすゝめ十五編)

または「東西文明は一長一短」 『学問のすゝめの』この前の章までは福沢自身が「西洋と比べていかに日本の遅れていることか…」「西洋化!西洋化!とっとと西洋化!」と嘆きまくってたが、一定の反省期間を置いたのちに書かれたためか西洋一辺倒の勢いは無く…

カール・ヒルティ『どうしたら策略なしに常に悪と闘いながら世を渡ることができるか』

または「実際生活における理想主義」この章でヒルティはクリンガーを理想主義の実践者として紹介している。この章における理想主義とは、「最終的に善と正義が勝つ、という信念」と捉えられる。 ■導入・野蛮な生存競争を是認するこの世界で理想主義は「たし…

プルタルコス『いかに敵から利益を得るか』

読書メモ エピソードや話題の順番はいじってある 以下の他にも興味深くて面白い逸話が多数 ◼︎導入・昔は敵(動物や自然など)からの攻撃をやり過ごせればそれで十分だった。しかし人々はやがてそれらを利用する術を知った。敵がいてこそ得られる利益にはどん…